2005フィジー実習下見 実施報告

 

期間:2004.3.33.12

行先:フィジー諸島共和国ビチレブ島ナンディ、シンガトカ、ガリマーレ。マロロ・ライライ島

目的:2005年度 教養科目「海外自然体験実習」の下見・現地打ち合わせ

内容:Plantation Island resort見学。

Qalimare石灰岩地域の雨期の状況調査

   USP(南太平洋大学)Dr. Pohler, Dr. Khasaiとの打ち合わせ。

   地球科学研究室学生の卒業研究のための現地下見、予備地質調査。

   実習地での家屋建設地の選定、測量、地盤調査、水環境調査。

建設資材調査、施工会社訪問。

建設現場見学(Sigatoka, Denarau)

   遺跡分布調査、GPS測量、村落内簡易測量。民俗調査。

 

引率:萩谷 宏(武蔵工業大学工学部教育センター化学部門・講師)

 

参加者: 学生10名、大学院生1名(東大総合文化M2

 

要点

1)USP側と2005年度フィジー実習の打ち合わせ:8月最終週から9月第1週にセメスターブレークが入りそうだとのことで、その週を軸に実習日程を考える。ただしUSP側でこちらの都合に合わせて通常の週に実施することは可能。その場合は2,3日が限度。USPでも今年は正課科目として単位認定をしたいので要項を早く送って欲しいとのこと。今年はUSPの地球科学・環境科学は女子学生が非常に多い(38/48)とのこと。

2)建物建設計画は、3/8,10に現地で候補地の選定、イノケさんの手配により村人に頼んで草刈りと穴掘りによる地盤の確認を行った。資材調査は3/9にシンガトカで、イノケさんが手配しツマさんの案内で2社見学、建設現場をシンガトカとデナラウ(3/11)で見学させてもらった。映像記録を撮り、基本設計プランを検討中。

3)考古学・民俗学調査は、今回はタワタワンジ村に近い2つの旧集落跡(コロニサガナ、サウタンブ)を調査。コロニサガナ旧集落跡について測量。マウンドの高さや位置関係の把握。村人に聞き取り調査。1964年の水害についてなど。

4)地質調査は3/8に中央のSink Hole〜石灰岩/安山岩境界〜QDH11のルートを歩き、3/9は萩谷がUSPと打ち合わせのためイノケさんに指導を依頼しQDH15-17のルートを調査、3/10は東側のCave〜丘の上のルートを調査。初心者のために走向傾斜の測定などで時間を費やし、目的のQaraqara limestoneには到達せず。卒論の地質図作成は進展した。コアは今回は一切触らず。

5)プランテーション・アイランド・リゾートでは基盤設備見学は実現せず。ただし増設する宿泊施設の建設途中で様々な観察ができた。価格が安く、食事も悪くないので、マナ島の値上がりの際には代替の宿の候補として適当だと思われる。新築の部屋だったが、設備はやや問題あり。

6)今回は雨季の割には雨が降らない時期に訪問し、毎日朝から高温で体力的に厳しかった。雨が降らないことで現地状況の観察では足りない部分があった(特に建築計画の上で)。参加者は3/7に女子学生1名が熱を出した(翌日朝には回復)のと、腹をこわした学生が多少あった程度で、特に問題はなかった。

7)USP側から、2年続けて参加している修士学生のSophia Narainさんについて、萩谷に修士論文の外部審査を依頼したい、またガリマーレ石灰岩の調査と分析を修論に加えたいのだがよろしいかとの打診あり。とりあえずOKと返事した。8月予定の現地調査に同行してもらい、9月以降、武蔵工大で化学組成分析をさせることで考える。旅費と滞在費の問題、宿舎の確保など、早急に調査し返答することにした。

 

日程:

3/3      19:00     FJ303便にてフィジーへ

3/4      06:40     フィジー着、ナンディタウン経由でデナラウ港へ

10:30     デナラウ港より定期船でMalololailai島へ

3/5                    基盤設備見学

3/6      09:00     定期船でデナラウ港へ

13:00     コーラルコースト移動、クロウズネストへ

3/7      08:00     朝食後、ガリマーレへ。セブセブ、現地状況観察。

3/8      08:30     朝食後、ガリマーレへ、終日現地で調査。

3/9      08:30     朝食後、ガリマーレへ。建設チームは資材調査、施工会社調査へ。

3/10    08:30     同上

3/11    10:00     クロウズネスト出発、ナンディに移動。

3/12    08:30     朝食後、ナンディ国際空港へ。

10:30     FJ302便にて成田へ、着後解散。

 

宿泊先:

3/45                            Plantation Island Resort

3/610            Crow’s Nest

3/11                  Tokatoka Resort

 

実施経過:

 3/3 成田空港第2ビル3階Hアイランド17:00集合。チェックイン。(1名遅刻17:55

定刻出発。

 3/4 Nadi06:45到着。7:15ウイングのManoaさんお嬢さん2人と出迎え。UTC(AIS)の谷さんが出迎え。

UTCバスで移動、Nadi Handycraft Center08:40着。MH等で買い物。萩谷とYKManoaさんとデポジット物品の引き取りに事務所へ寄り、9:30に本隊と合流。09:50バス出発10:00デナラウ着。

10:30 Malolo Cat II でPlantation Island Resortへ。11:10到着。12:30部屋へ。休息。自由行動。

18:00集合、夕食、天体観測。

 3/5 自由行動と休息。18:30集合で夕食。翌日以降の行動打ち合わせ。

Dr. Pohlerとメールで連絡(新宅)。3/9水曜の午後にスバからクロウズネストに訪問とのこと。

 3/6 8:00荷物出し、チェックアウト。9:00出発、9:40デナラウ着。Manoaさん出迎え。デポ荷物。

UTCバスでNadiタウン移動。買い物。11:00ナンディタウン発。クロウズネストへ。

昨年ウイングに預けたデポ荷物のうち、蚊取り線香、まな板など道具関係が見つからず。要確認。

12:00クロウズネスト。6,10,12,19号室。夕方まで自由行動。18:30バー集合。打ち合わせ。

 3/7 8:00集合、イノケさんワゴンで到着。シンガトカで買い物をしてコロニサガナ村へ。

10:00着、セブセブ。この際に「なぜ日本人は何度もガリマーレに来るのか?」という村人たちからの質問あり。イノケさんを通じて、調査・研究の必要性について説明をする。イノケさん曰く、充分な教育を受けていない村人には、継続的な調査の必要性がわからないので、説明の必要がある(彼等にわかるようにイノケさんが説明しておく)とのこと。

11:00移動、ボートで対岸に渡り、タワタワンジ村へ。事務所でいったん休息。昼食。12:30行動開始。建設予定地の教会西側の土地を見学。イノケさんの提案で、翌日村人を雇って草藪を切り払う依頼。

徒歩で旧コロニサガナ村集落跡地に移動。マウンドなどの確認。1964の水害について村人に話を聞く。

14:00旧サウタンブ村集落跡に移動。現地状況の確認。植物観察。14:40終了。川岸に出てボート渡河。

15:20出発。シンガトカで買い物。クロウズネスト17:30着。到着後、レセプションで交渉し6号室が遠すぎるので8号室に部屋を代えてもらう。

 3/8 8:30集合。シンガトカでランチなど買い物。裏道を通ってタワタワンジへ。10:40タワタワンジ着。

建設予定地はすでにきれいに切り払われており、建設グループは現地の測量と状況調査に残る。考古・民俗班は地質班とともにタワタワンジ村へ行き、村の裏手の墓地と水タンク見学。その後、旧コロニサガナ村の簡易測量と聞き取り調査に向かう。地質班はQDH13方面に村の裏手を登り、ドリラーのキャンプ跡で昼食。石灰岩地帯を抜けて南側の安山岩と石灰岩の礫岩境界露頭を確認し、引き返してQDH11経由でタワタワンジ村東の草の斜面を降りて戻る。15:30出発、シンガトカ経由で宿へ。

夜、クロウズネストの電話からインターネット接続し、Dr. Pohlerからのメールを確認。今回はASさんがメールでの連絡をすべて担当。予定を変更し10:00クロウズネストに、Dr.Khasai, Sophieとともに到着とのこと。翌日は学生は調査に行かせ、萩谷のみクロウズネストに残ることにする。

中野さんに国際電話。翌日の資材調査の件、Manoaさんに同行をお願いすることにする。

 3/9 7:30 Manoaさんより電話。朝合流した時点でイノケさんに電話するよう頼まれる。

8:30全員いったん出発、シンガトカでイノケさんと待ち合わせなので、事情を説明する。イノケさんが資材会社を手配。資材倉庫の見学と、建設現場の見学を旧知のhardware shopのマネージャーに依頼。Manoaさんに電話。手はずを伝える。

9:30にいったんクロウズネストに戻り、建設班4名と萩谷を降ろし、再度山へ出発。

10:00Manoaさんクロウズネスト着。USPの3人が来ないので、建設班4人を乗せて先にhardware shopに行ってもらう。(本当はツマさんを含めて挨拶してから行ってもらうつもりだった。)予定よりだいぶ遅れ、10:55USPのメンバーが到着。プールサイドでお茶。来年度実習の打ち合わせ。

USP客員教授の宮田元靖氏(海洋物理学)が同行しており、紹介される。

来年度実習について、前回より1週間遅れてセメスター休みが入るはずということで日程を調整。

この実習をUSPの地球科学の正式な科目の一部にしよう、ということで、英語版の要項を早く送るよう、Khasai氏に頼まれる。4月には送ると返事。

Sophieが修士の学課を終え、USPのスタッフになったとのこと。修士論文を書くにあたり、ガリマーレ石灰岩の研究をさせて欲しいとのこと、外部指導教員が必要で、萩谷にやってくれないかと頼まれる。とりあえず承諾する。野外調査を8月、分析を9月以降で、渡航費・滞在費はUSPから出ないので、萩谷がスポンサーを交渉する。(政府を含む)

12:00に打ち合わせ終了。USPの4人は海岸侵食のフィールド調査に出かける。12:10ツマさんより電話あり、13:00にクロウズネストに迎えに来るとのこと。13:00クロウズネスト発、レストランで建設組4人と合流。別のshopに行き、資材の見学。デナラウの工事現場を見せてもらう話が進む。3/11金曜11:30にツマさんとナンディで待ち合わせ、デナラウのホテル工事現場を4人が見学することにする。16:00シンガトカMH裏の駐車場でタワタワンジ村組の地質・考古班と合流。運転手のムハンマド氏から夕食のご招待を受けるが、USPの宮田客員教授とのこともあり、突然なのでいったん断る。あとで全員のご招待ではなく考古班3人のご招待と知り、ちと断ったことを後悔する。17:00帰着。

地質班はイノケさん、村長とQDH17方面の調査。考古班は旧集落の測量と聞き取り。運転手のムハンマド氏が意外に機械に明るく、簡易測量機器の扱いを教えてくれたとのこと。

 3/10 現地調査最終日。

8:30集合、前日断ったムハンマド家の夕食ご招待を受ける旨、S君が運転手のムハンマド氏に話す。シンガトカ経由、裏道でタワタワンジ村へ。建設班は建設予定地の測量と、村人に頼んでトレンチ代わりの穴掘りによる地盤の確認。予想に反して乾いた粘土と砂の地盤だったらしい。段丘礫層にはあたらず。土壌試料を新宅さんが預かる。

考古班は前日に続き旧集落内の測量と、聞き取り調査。地質班はガラガラ沢を詰めるべく、東側のルートに入る。しかし途中で地質調査の訓練をしたことと、日射と気温の高さで思うように進めず、尾根から南側の地質を観察するだけで引き返す。14:40橋に帰着。集会場で他の学生は接待を受けていてなかなか降りてこない。15:30タワタワンジ発、シンガトカでイノケさんとお別れ。17:00宿着。

考古班3人は急いで荷物を置き、運転手ムハンマド氏のワゴンでそのまま彼の自宅へ夕食ご招待。

21:30戻る。萩谷は隣室のUSP客員教授の宮田元靖さんと話す。途中から学生3人も加わる。USPの講義は2月から7月、7月末までで日本に戻るとのこと。日本に戻ったら根津の研究所にいるとの話。メールを送れとのことで帰国後やりとり。

 3/11 朝、宮田さん出発時刻にあわせて見送りに出るが、タイミング合わず。10:00チェックアウト、

UTC谷さんとバス到着、バスの予定が詰まっているということでナンディに寄らずトカトカ直行。11:10にナンディ通過、横断歩道待ちの間にデナラウの建設現場見学の4人を降ろす。ツマさんと11:30の待ち合わせだが、ツマさんの携帯電話につながらない。11:20トカトカ着。部屋待ちの間に電話するが捕まらず。12:00過ぎにとりあえず部屋に移動。12:30建設現場見学の4人到着。ツマさんと明日の打ち合わせ。8:00にデポ荷物を預かりに来てもらうことを依頼。14:00UTCの無料バスでナンディタウンへ。タノアで日本人観光客を3人乗せる。谷さん大忙しだ。裏側は見せていないが観光業の実態を知る職業教育という点でよい勉強になったはず。Nadi Handycraft Centerの2階に連れて行かれ、冷たい飲み物のサービス。kavaも飲まされる。18:00に再集合するまで自由行動。18:00Jack’sの前に集合。徒歩でCoconuts Innに向かう。途中客引きに悩まされる。最後の晩餐。美味しいと好評。全部でFJ$198。フィジアンのウェイトレスにFJ$7でトカトカまで可能か聞いてタクシーを頼み、ワゴン1台とタクシー1台を呼んでくれる。別のウェイトレスに相場を聞くとFJ$8くらい、10$はしないとの返事。7人と4人に分かれて分乗。途中、街娼の説明。夜間の外出をさせない理由を学生に話す。トカトカで降りて7$を払う。ワゴンの運転手が8$とごねるが聞いていないと突っぱねる。

 3/12 8:00ツマさん来訪、荷物をお願いする。小さい息子さんと一緒。挨拶して別れる。

8:30レセプション集合。今日も谷さんが同行。荷物を積み、国際線カウンターへ。チェックインを済ませ、谷さんの注意を聞いて、解散。昨年お世話になったAzim氏に出会う。10:00搭乗開始。行きと異なり、比較的機内は空いていて、だいぶ楽だ。10:30定刻に出発。学生たちは窓から写真を撮る。

成田に接近し降下途中で揺れる。16:15成田空港着。早く着いたのでゲートに中華航空機がまだいて10分ほど待たされる。税関・検疫問題なく通過し17:00解散。