*住民の気質
・伝統文化を尊重する気風
ホテル・リゾートでは水着で歩いても構いませんが、村や共有地の中では肌の露出は控えてください。特に女子学生は短パンで村に入らないように。(スルを上から巻けばよい。) サングラス、帽子も控えましょう。子どもの頭をなでることはタブーらしいです。プライバシーを尊重するので、家屋の(特に内側の)撮影などはあらかじめ許可をもらった方がいいでしょう。なお、カメラを向けると子どもが喜んで集まってきます。(プリントできるともっと喜ばれます。) なお、貨幣経済が浸透していない内陸の村に入りますので、お金で代えるおもちゃ、お菓子などは村の子どもに与えないでください。写真のプリントはOKですが、それ以外はすべて、物品の授受は武蔵工大と村という、共同体と共同体の関係で処理します。
・親切すぎて困ることあり
フィジアンの人々は、親切心に富み、助け合いの精神をもっています。集落での共同生活のかたちに由来するのかもしれませんが、そのかわりおおざっぱで、物事がスムーズに進行しないこともよくあります。フィジーの社会ではそれでもうまく動くのですが、我々は困ることがあります。
たっぷり振る舞うのが好意のしるしだという観念があるようで、村でお茶や果物をごちそうになると、それはもう食べきれない量を出されることがあります。困ることもありますが、できるだけ断らずに受け取ることが大事です。笑顔でありがとう、というのがお互いの平和のために大事かもしれません。
フィジアンの人々は誇り高い人々でもあるので、こちらの事情が許す限り、できるだけプライドを尊重してあげることが大事です。
・挨拶をしよう
特に山間部に入っていくと、車が来るのが珍しいのかもしれませんが、道で行き違う人々や、沿道で生活する人々は、大人も子どもも手を振って、場合によっては何ごとか声をかけてきます。手を振って挨拶するのが礼儀ですので、人を見たら片手をあげて挨拶してください。変化の少ない土地ですので、日本の大学生が来た、というと、周辺の村々では大ニュースになっていると思います。日本人の株を上げるためにも、愛想よくして置くことが大事です。とはいえ、作業で疲れて帰ってくる時など、全部の人に挨拶している気力はなくなることがありますが。さすがに車の通行が多い都市部では、こういうことはあまりないです。
・フィジアンタイム
時間に対する感覚がのんびりしていますので、例えば11時集合というと、30分や1時間遅れることは普通です。どこかの国のように、電車が数分遅れただけで抗議が殺到するようなことはありません。交通が発達していないというのもありますが。
ホテルやレストランで仕事を頼んだり、注文したりしても、すぐに仕事が完了すると思わない方がいいでしょう。非常にのんびりしているので、頼まれたことを忘れていたりすることも多いのです。それがフィジー流なのでいらいらしないように。複数の仕事を同時に頼むと、たぶんどれもやってくれないことになりますので、ひとつずつ頼むことです。彼らは悪気があって忘れるのではないのですから、怒ってはいけません。
・ケレケレ
共同生活の知恵なのか、基本的にフィジアンの人々は財産共有の感覚があり、個人の持ち物はみんなのもの、という発想で物事が動きます。ですから、あげてもいいものだけ持っていく、というのが基本です。「ケレケレ」というのは、ちょっと貸して、くらいの感覚かな。大事なもの、高価なものは持っていかないようにしましょう。
・契約を守るインディアン
インド系の住民は商店経営やサラリーマンをしていることが多く、インド系住民の気質なのか、几帳面で仕事が早いので、物事を頼むのには比較的安心です。ただし、仕事が雑だったり、値段をふっかけられることもあるので、注意が必要です。
*儀式関係
・セブセブ
祝詞?をあげ、カヴァを回しのみする儀式のことです。フィジーではどこでも初めてその土地にはいる時には、この儀式が欠かせません。客と村の主要な人物が車座になってあぐらをかいて座り、代表者が先祖の霊に客が来たことを報告し、無事と安全、繁栄を祈願する、お経のような文句を唱えます。それからTanoaと呼ばれる容器にいれた、ヤンゴーナというコショウ科の植物の根をつぶして濾した、カヴァという泥水のような漢方薬のような飲み物を、地位の高い順に杯の応酬をします。ヤンゴーナ(カヴァ)にはブランドがあり、よいものはそれなりに高いようですが、1回10F$か20F$もあれば充分な量が買えるようです。これは客になる側が買って持参します。
座る位置や、セブセブをする建物の入り口には、上座と下座があって、その秩序に従わなくてはいけません。(我々は客として上座に座らされます。)また、あぐらをくずすのもよくないことです。(僕はあぐらが苦手で、毎回非常にきつい思いをしています。)あぐらを崩す時は、伸ばしてしまった方がいいそうです。
・カヴァ
何かというとみなさんカヴァを飲みたがるので、我々はそれをご遠慮するのに苦労します。カヴァは鎮静作用のある飲み物で、飲み過ぎると頭がぼーっとします。のどや胃が麻痺した感じになり、また利尿作用があるようで、トイレが近くなり、尿が黄色くなります。
僕は参加したことがないので、以下は伝聞ですが、村ではカヴァ・パーティーが夜中まで続き、その間メンバーがちょくちょく入れ替わるのだそうです。新しく来た人が情報を持ってきて、その話題で盛り上がる、またその話を聞いた人が次の村に行ってその話をする、という繰り返しの結果、ウワサが急速に広がるというしくみがあります。おそらく日本人の大学生が多数来ている、どんなやつが何をした、という話は、1日数十kmの速度で、ビチレブ島全域に伝わることでしょう。
・礼儀正しい人々
昔の日本の村の生活に似ている、という話を聞きますが、感覚的にはフィジアンの村の人々は、日本人と共通した部分があります。男尊女卑の社会ということになっていますが、村の実権は女性、とくにおばさん、が握っていることが多いように感じます。立派な体格の年輩のおじさんが、何かものを頼むと、「Big Motherに聞いてくる」といって許可をもらいに行ったりします。挨拶は「Bula」と、握手が基本です。日本風のお辞儀も通じるようです。「さようなら」は「moce(モゼ)」です。丁寧に言うと、Ni sa BulaとNi sa moceです。
先祖を敬い、家にお邪魔すると昔の写真がたくさん飾ってあったりします。また老人を大事にします。占い師がいて、神様の言葉を伝えたりします。一方、フィジアンはほぼ100%が敬虔なカトリック信者で、村には必ず教会があり、それは集落でいちばん立派な建物になっています。また多くの村に小学校があります。(中学校以上は、村ではなく比較的大きな町にあるようです。)
*地名の読み方
フィジーの地名は、英語の表記に対し独特の読み方をします。NADIをナンディ、SIGATOKAをシンガトカ、TAWATAWADIをタワタワンディ、TOGAをトンガといった具合に、D,G,Bなどいくつかの子音の前には「ン」が入ります。
アルファベット表記で、発音が通常と異なるのは、QとCです。QはG、CはZの発音と思っていいと思います。今回の実習ではQalimare石灰岩地域を調査するわけですが、これを「ガリマーレ」と発音します。また、マナ島はMamanuca諸島の島のひとつですが、これを「ママヌザ」諸島と呼びます。混乱しないように。
フィジーという国名の由来は、ビチレブ島(Viti Levu)のビチと共通で、「やぶ」の意味から来ているそうです。これを欧米人がビチではなくフィジと聴き取って、Fijiになったそうです。昔から焼き畑をやっていてヤブだらけの島だったのでしょうか。
乾期にはあちこちで野焼きをしているのが見られますが、野焼きの理由は、草地を焼くことで新芽の発生を促し、そこで牛や馬に新芽を食べさせるというのが理由のひとつのようです。野焼きとサトウキビプランテーションの共通の問題として、土壌の浸食が進む危険があります。
*日本とフィジー
太平洋戦争前に、日本海軍が表敬訪問した際に、一人の海軍士官が当時の大酋長に見込まれて、ぜひうちの婿に来てくれと頼まれたのを断ったという話があります。太平洋戦争中は英連邦の一員として、フィジー軍が連合軍に加わってソロモン諸島に派兵していますが、フィジーそのものは戦場になっていません。昭和18年9月に伊25潜水艦がスバ方面の偵察に現れ、水上飛行機を射出、収容したのを住民が目撃。このためあわてて建設した海岸砲台が西海岸にありますが、実際に使われることなく終戦となり、現在は観光地となっています。
*タクシー
フィジーでのタクシーは、主要区間では料金が定められているので、乗る前に行き先を言って料金を確認する必要があります。時々、相場より高い料金をふっかけられることがあります。適正な料金はホテルのフロントで確認できます。今回は利用することはないと思いますが。
正規のタクシーではなく、キャリアーと呼ばれる幌を張った軽トラックも住民の間では普通に使われています。これは荷台に簡単なベンチが両側にあって、乗り合いのようなもので、行き先が同じとなると、その方面の村人がどんどん乗り込みます。料金は何人乗っても同じで、持っている人が払うようです。従って我々が乗ると我々が払わざるを得ない。シンガトカから中流域のタワタワンジやブナゴルの村まで、35F$〜40F$が相場のようです。
都市部では、バスの代わりに乗り合いのバン(ワゴンタクシー)が走っています。50c〜1$が相場のようですが、今回は主要道路から少し離れた宿なので、できるだけ使用は避けてください。
村ではバイクの代わりに馬、耕耘機の代わりに牛が働いています。すべて放し飼いですが、畑などは家畜が入らないように柵を立てています。
*食事関係
・フィジーの水
フィジー国産のミネラルウォーター「Fiji Water」が500ml1ビン1F$ほどで売られています。これはバヌアレブ島の地下水をくみ上げてミネラルウォーターとして販売しているもので、珪酸の量がやや多く、やや火山岩の味がします。この容器は便利なので、ひとつ買っても良いと思いますが、中身は水道の水を詰めて持ち歩けば予算が節約できます。
フィジーでは簡易水道の場合もありますが、都市部では上水道が普及しており、降水量が多く水が豊富なため、通常は水道水をそのまま飲んで問題ありません。どうしても心配ならいったん沸騰させれば問題ありません。
・恐怖のスパゲティ
フィジーのホテルの朝食では、バイキング形式というか、自分で好きなパンや果物、飲み物や料理を取ってくる形式が多いのですが、その際に、暖められた容器に入った、”スパゲティ”らしきものを見ることが多いです。これをスパゲティだと思って食べると、衝撃を受けます。スパゲティに関しては、もともと缶詰めか何かの輸入品として入ってきたらしく、何か間違った観念がフィジーでは固定化されてしまったように思います。とにかく、のびきった麺と、甘い味付けがスパゲティだと思っているらしく、我々の想像を絶する食感と味です。もちろん、食べられない味ではないのですが。
・強いコーヒー
僕だけかもしれませんが、フィジーの朝食で出されるコーヒーは、煎れ方が濃くて、胃にこたえます。ミルクで半分に薄めても、まだかなり濃い味がします。朝から車で移動の時など、胃もたれの原因になるので、最近の僕は、朝は紅茶にしています。せっかく薄めたコーヒーに、フィジアンのおばちゃんがサービスのつもりで濃いコーヒーをつぎ足してくれちゃったりするので、油断ができません。
・果物とガス腹
朝食では果物は好きなだけ取って食べることができますが、繊維質が多いためか、組み合わせによってはガス腹に悩まされる場合があります。ほどほどにしましょう。
・フィジービター(スタビー)
現地のビール。サトウキビを原料の一部に使っているようで、けっこう味が濃い割にすっきりしたのどごしで、飲みやすいビールです。樽型のビンで流通しているので、愛称として"stubby"と呼ばれ、店ではこの方が通じやすいかもしれません。マーケットで買うと1.4F$くらい、飲み屋やレストランでは2.5F$〜3.5F$が相場です。一仕事終えたあとのスタビーは最高ですが、実習が目的であるので飲み過ぎないように。
なお、マナ島などでは、夕方5時から6時までの1時間はハッピーアワーと称して、バーの飲み物の値段が半額になります。
H.Hagiya 2003.6.27-